抜け感の出る「着付け」

加藤咲季です。

気温が下がって「やった〜!」と喜んでましたが、

いきなり下がりすぎですよね。。

 

最高気温22℃くらいのちょうど良い気温を

もうちょっと楽しみたかったです…泣

 

さて、これまで

『令和の着こなし』というテーマで

着物のコーデを中心に

様々なお話をさせていただきました。

 

でも、『着こなし』というからには

コーデだけでなく”着付け”も大切になっていきます。

 

洋服は立体裁断なので、着るだけでサマになりますが、

着物は平面でできているので

着方がかなり重要になります。

 

着付け方ひとつで

スッキリと格好よく、凛として見えることもあれば

モサモサとヤボったく、古くさい印象を与えることもあります。

 

例えば、昔の着付けの教本に載っている着付けは

衣紋をあまり抜きません。

 

衣紋の抜き加減は、横からみた時に

衣紋と肩甲骨が一直線になるようにします。

 

なので、若い女性は衣紋をあまり抜かず、

背中が丸まってきた年配の方や

ふくよかで背中に丸みがある方なんかが

衣紋をしっかり抜きます。

 

昔は、若い(特に嫁入り前の)女性が

露出をすることはあまり良しとされていなかったこともあり、

「衣紋を抜くのは遊女みたいで下品」といった風潮がありました。

 

最近でも、伝統ある呉服屋の社長さんなんかが

「最近の若い女性は衣紋を抜きすぎているから遊女みたいだ」

と言っているのを見ましたね。

 

でも、洋服に慣れた現代人からすると、

首を出すこと=遊女

には全く見えないんですよね。

 

そりゃ、衣紋を抜きすぎてたら私も

「あの人花魁みたいだな〜」と思うことはあります。

 

でも、そう感じるボーダーラインが

昔とは違うということですね。

 

正直、先ほどの写真、

モデルさんが太って見えませんか?

 

なんかスッキリしないというか、

”抜け感”が1ミリもないですよね。

 

これは、衣紋を抜かないから

衿が首に巻きついてしまい、

首が見えずに、衿の上に

そのまま顔が乗っかっているからです。

 

・ヤボったい感じがする

・顔が大きく見える

・太って見える

・肩まわりがガッチリ筋肉質に見える

 

これらの原因になりますね。

 

”抜け感”とか、”こなれ感”というのは

首の横のラインをしっかり出すことで出てきます。

 

なんかおこがましい感じもしますが、

並べてみました。

 

いかがでしょうか?

どちらに違和感を感じますか?

それとも感じませんか?

 

これは、感じ方、

つまり美学の問題なので

どっちが正解ということはありません。

 

左が昔、右が今の

単なる着付けの違いですね。

 

私が提唱している『スレンダー着付け』は

「スレンダーに着たい!」という

自分の願望から作られたものなのですが、

後から考えてみれば

『令和の着こなし』をめちゃくちゃ体現しているなと思います。

 

 

追伸:

ひと昔前の「着物の教本」みたいなものは

茶道の流れを汲んでいる着付けがほとんどなんですよね。

 

茶道の時は、胸元に懐紙を入れたり

お辞儀をすることも多いので、

衣紋はあまり抜かない方が良いです。

 

着付け方をみれば、

何をやっている人なのかなんとなくわかります。

 

TPOによって着付けを変えるのも大事なことですね。